ガス料金比較

東電連合は「都市ガス販売で大変なライバル」(東京ガス社長)

 東京ガスは都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の調達方法を見直す。LNGの大半を15―25年スパンの長期契約で仕入れている現状を改め、5―10年後をめどに、スポット取引での調達量を3割程度に増やす方針。4月の小売り全面自由化に伴う都市ガス市場の競争激化をにらみ、原料調達ルートの選択肢を広げて、コスト低減につなげる。

 

 東京ガスは7月に家庭向けの都市ガス販売に参入する東京電力ホールディングス(HD)グループと、家庭向けですでに実績がある日本瓦斯(ニチガス)の2社連合が「大変なライバルになる」(広瀬道明社長)と分析。これに対抗して、コスト競争力の強化を目指す。

 

 長期契約の期限切れや更改に合わせ、従来の契約形態を段階的に縮小し、スポット取引の比重を高めていく方針。原料調達の専門部署として4月に新設する「原料・生産本部」が具体策に取り組む。

 

 一般に原油相場に連動して価格が決まる長期契約に比べ、余剰になったLNGなどを随時売買するスポット取引は、天然ガスの需給動向が価格に反映されやすい。スポット市場からの調達を機動的に行うことで、原油相場の高騰などに伴うLNG価格の変動リスクを低減し、コストを抑える。

 

 

 

ガス小売り全面自由化、新規参入の動き本格化

 

 4月のガス小売り全面自由化をにらみ、一般家庭など新たに自由化される小口需要家向け都市ガス市場への参入を目指す動きが本格化してきた。新規参入事業者の経済産業相への登録手続きは出足が鈍いものの、大手都市ガス各社の託送料金が出そろったことで今後、商社や石油元売りなどの参入表明が相次ぐ可能性がある。これを機に、大口需要家向けの市場を巡る攻防も激しさを増す見込みで、都市ガス利用者の利便性向上につながることが期待される。

 

「2000万軒に上る電気の顧客にアプローチし、早期にシェア1割を獲得したい」。

 

 東京電力ホールディングス(HD)傘下の電力小売り事業者、東京電力エナジーパートナー(東電EP、東京都港区)の小早川智明社長は、家庭向けガス小売り事業参入への意気込みをそう語る。

 

 東電EPは関東地域で7月に、家庭向けの都市ガス小売り事業を始める。火力発電所の燃料に使う液化天然ガス(LNG)の一部を都市ガスに加工し、電気とセットの割安なメニューを提案する。

 

 東電グループは燃料調達を含む火力発電関連事業を中部電力と統合したことで、世界最大規模のLNG購買グループになった。この強みを生かして東京ガスに価格競争を挑み、同社の顧客1000万軒の切り崩しを狙う。

 

 東電EPは液化石油ガス(LPG)販売大手の日本瓦斯(ニチガス)とも組む。ニチガスがガス事業で蓄えたノウハウを生かし、保安業務などを手がける共同出資会社を2017年度の早い時期に設立。

 

 さらにニチガスが小売り事業の商材として使う都市ガスを、東電EPが卸供給する。ニチガスの和田真治社長は東電グループの原料調達力を生かすことで「既存の都市ガス事業者より安い料金で供給できる」と自信を示す。
小早川東電EP社長(右)と和田ニチガス社長

 

 

反撃開始

 

 2社合わせた顧客獲得目標は、初年度15万軒。16年4月の電力小売り全面自由化後、家庭向けの電力販売で東電EPから56万軒(16年末時点)の顧客を奪った東京ガスへの反撃が始まる。

 

 関西電力は関西地域で4月に始める家庭向けの小売り事業で、電気とセットで契約した顧客のガス料金を、地元・大阪ガスの現行料金より最大8%安くする。

 

 LNGの調達から受け入れ・貯蔵、都市ガス製造までを自前でできる点が強みだ。訪問販売や保安業務などの実務は、1月下旬に設立する岩谷産業との共同出資会社が担う。

 

 関電は電力小売りで大阪ガスに、25万軒近い顧客を奪われた。ガス事業で初年度20万軒以上の獲得目標を掲げて巻き返しに出る。

 

 迎え撃つ都市ガス各社も、対策づくりに本腰を入れ始めた。東京ガスはスポット取引市場からのLNG調達など仕入れの機動性、柔軟性を高めてガスや電気の供給コストを引き下げ、値下げ圧力に対応する。

 

 また、暮らしにかかわるサービスを一手に手がける“総合生活サービス産業”へ展開することで収益を伸ばす。

 

 広瀬道明社長は東電EP・ニチガス連合を「最大、最強の組み合わせだ」と警戒する一方で、全面自由化を「企業の変革に取り組む」好機とし、成長戦略の練り直しに意欲を示す。ほかの都市ガス各社の間でも、コスト構造の見直しや事業領域の拡大を目指す動きが加速しそうだ。

 

http://newswitch.jp/p/7739

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